メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

【お能に出てくる美少年を知るシリーズ13回】「仲光(満仲)」のご紹介

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どうも、メガネです。
能のあらすじを調べていると、ドラマチックな思い思われがわんさかしていて、ちょ、ブロマンスに満ちているんじゃないのと、ドキドキしてしまいます。
今回は、上司の息子の身代わりに死んでしまう少年のお話です。

 

あらすじ

藤原仲光が主君多田満仲の子、美女御前(男の子に美女という名前ってすごいですね)を連れて満仲のもとへ参上します。
満仲は美女が中山寺で学問を修行せず武芸ばかりしているので腹を立てています。満仲は美女が経を読めないのを見て怒り、斬り殺そうとします。仲光が制してその場は収まりましたが、満仲は仲光に美女を討つように命じます。仲光の子である幸寿が、自分が美女の身代わりになることを言い出します。仲光は深く思い悩むも、ついに決心をして我が子の首を打ち、美女は落ちのびて行きました。

仲光は美女を討ったことを報告し、出家をしたいと訴えます。

その場で満仲は仲光の子、幸寿を養子にしたいと言い出します。当惑する仲光。

そこへ恵心僧都が美女を伴って満仲の館を訪れます。恵心は仲光が美女の代わりに幸寿を討ったことを告げ、美女の助命を願い出ます。満仲は美女を責めますが、恵心の言葉によって美女を許し、酒宴となります。恵心に乞われて仲光は舞を舞います。やがて恵心は美女を連れて寺へ戻り、仲光は涙を流しつつ見送りました。


勝手に見どころ

武芸ばかりに身を入れて、経文を勉強しなかった美女御前に腹を立てて殺してしまえという父。間に立った仲光に、自分を殺してくださいという美女御前。
そこへ、仲光の子である幸寿が自分が美女の身代わりになるといいます。
美女は幸寿が死ぬなら、自分も自害するというのですが、美女と幸寿、二人の間に何かあるんじゃないの!?
というぐらいお互いを想い想われているのに、動揺を隠しきれませんでした。
結果的に幸寿は死に、美女は生き残るんですけれど、寺に戻るので、そのまま出家して、自分のために死んだ幸寿の菩提を弔うんだろうなと考えたら、切なさ2千パーセントです。

ちなみに、観世流以外の流儀では曲名が〈満仲〉となるそうです。はい。


なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。
【仲光 | 銕仙会 能楽事典】
http://www.tessen.org/dictionary/explain/nakamitsu

 

【 お能に出てくる美少年を知るシリーズ12回】「春栄」のご紹介

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こんにちは、メガネです。
子方が出てくる能を図書館のレファレンスで調べてもらったらたくさん出てきて狂喜乱舞です。

今回は、互いを想う美少年兄弟の思い思われる絆がエモ過ぎる作品に出会いましたので、ご紹介します。

 

【あらすじ】

宇治川の戦い(うじがわのたたかい)は、平安時代末期の寿永3年(1184年)1月に源義仲と鎌倉の源頼朝から派遣された源範頼源義経とで戦われた合戦。治承・寿永の乱の戦いの一つです。

高橋権頭がこの戦いで、多くの捕虜を得、その捕虜の中に春栄丸という少年がいました。
春栄丸の兄・増尾種直が高橋氏を訪ねてきますが、兄の身を案じ、春栄丸は兄ではないと偽りを言います。しかし、必死な兄の姿を見て、とうとう兄と認めてしまうのでした。
兄弟が再会を喜ぶのもつかの間、春栄丸は処刑を免れなくなります。兄は弟の代わりに自分が処刑されるといいますが、それもかなわず、兄弟もろとも死ぬことを決意します。
処刑の刃が振り落とされるその瞬間、赦免の使者が現れ、春栄丸は死なずに済むように。
高橋氏は春栄丸を養子として迎え、兄弟は助かりました。

 

【兄弟の絆!】

兄の身の上を想い、あえて他人としてふるまおうとする弟。
囚われの弟と一緒に死ぬことをいとわず、敵方に向かう兄。
なにこれすごく思い思いあってる兄弟じゃないですか!
萌えるしかない!
あとちゃっかり、高橋氏が捕虜としてとらえた春栄丸を養子にしているのすごいなと。
中世ではよくあった話なのでしょうか。
深いです…。


なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。

【銕仙会~能と狂言~/春栄】
http://www.tessen.org/dictionary/explain/shunnei

Wikipedia/宇治川の戦い
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E6%B2%BB%E5%B7%9D%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

能で子方が出る演目まとめ

『春栄(しゅんねい)』

『富士太鼓(ふじたいこ)』

『満仲(まんじゅう)』

『橋弁慶(はしべんけい)』『唐船(とうせん)』

 

『安宅(あたか)』『海人(あま)』『生田敦盛(いくたあつもり)』

『歌占(うたうら)』『善知鳥(うとう)』『大蛇(おろち)』

『柏崎(かしわざき)』『邯鄲(かんたん)』『国栖(くず)』

『高野物狂(こうやものぐるい)』『桜川(さくらがわ)』『三笑(さんしょう)』

『自然居士(じねんこじ)』『昭君(しょうくん)』『正尊(しょうぞん)』

隅田川(すみだがわ)』『住吉詣(すみよしもうで)』『摂待(せったい)』

『草紙洗(そうしあらい)』『大仏供養(だいぶつくよう)』『竹雪(たけのゆ

き)』

『谷行(たにこう)』『調伏曽我(ちょうふくそが)』『土車(つちぐるま)』

『藤永(とうえい)』『木賊(とくさ)』『鳥追船(とりおいぶね)』

『花筺(はながたみ)』『雲雀山(ひばりやま)』『百万(ひゃくまん)』

船弁慶(ふなべんけい)』『三井寺(みいでら)』『輪蔵(りんぞう)』

林月光氏の月光仮面劇場などの掲載号がちょっとわかってきた話

林月光氏のさぶ連載「月光仮面劇場」「月光天狗劇場」の掲載号がわからないのと、そもそも雑誌さぶの入手が難しく、骨を折っていたんですが、図書館のリファレンスに問い合わせたら、『石原豪人妖怪画集』から、

林月光/作画・絵話「月光・仮面劇場」は
 1976年6月、7月、12月、1977年2月、11月、1978年1月、
 1981年8月、11月、1983年2月、10月、1984年1月、
 1988年1月、1989年2月、1990年1月、1991年5月、1993年1月、
 1994年1月、1995年1月、1996年1月、1997年3月
林月光/作画「月光・天狗劇場」は
 1984年2月、1985年1月、1986年7月、1987年1月

という回答を得ました。
とりあえず、その号を中心に集めていこうと思います。はい。

(自分が収集していない巻が多いので楽しみですね)

 

追記(2021.5.16)

(ネットで調べて分かったもの)
1979年10月、11月、12月
1980年1月、2月、7月、12月
1981年3月、7月
1982年4月

桜姫東文章上の段を見て

こんにちは、メガネです。
シネマ歌舞伎は何度か見ているんですが、生まれて初めて生の歌舞伎を見ました。
演目は「桜姫東文章」。
坂東玉三郎さまがみたいという願いをかなえたわけですが、まさか稚児姿とお姫様姿を同時に拝めることになるとは。幸せいっぱいです。

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稚児と僧侶の心中失敗事件から17年後、稚児の生まれ変わりのお姫さまと生き残った僧侶の因縁話。
ちょっとだけ考察めいたことが浮かんだので、記録しておきます。

桜姫の前世、稚児の白菊丸ですが、名前に丸がついていること、お寺で大事にされていたことから、稚児灌頂を受け、仏の化身として扱われていたのではないかと思います。
その白菊丸が僧侶清玄と恋に落ち、心中を選びますが、白菊丸だけが死に、清玄は生き残ります。
生き残った清玄の側にまとわりつく青い霊魂。
あー、闇落ちかと思いました。
記憶の元が鬼灯の冷徹という漫画なので、裏取りをしていないんですが、地蔵菩薩閻魔大王は表裏一体と考えられています。
救うものと裁きを行うものがセットになっているというのは面白いですね。
この方式を桜姫に当てはめると、

白菊丸=救うもの
桜姫=裁くもの
という図式が浮かびます。
白菊丸は結局清玄に何もできないですが、桜姫は自由奔放に清玄を拒み、権助を受け入れ、女郎に身を落としても、自分にされた仕打ちに対して裁きをなし、最後は家宝も取り戻して、元のお姫様に戻って大団円。
これは、桜姫に転生した白菊丸の復讐譚だったのかなと思いました。

いや、全部想像ですけれど。

花道がよく見えない席で観劇したので、
ぜひ、6月の下の段と合わせて、円盤化してくれたらいいなぁと思います。お願いします、歌舞伎座さま。

 

雑誌さぶ1979年09月号 林月光 月光仮面劇場 M検芝居

雑誌さぶ1979年09月号「林月光 月光仮面劇場」よりM検芝居です。

 

M検って何だろうかと調べたら、マー赤面しました。さすがさぶです。

 

この文字をクリックして、画像を見る

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お能に出てくる美少年シリーズ第11回「邯鄲」

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お久しぶりのお能に出てくる美少年シリーズ第11回は「邯鄲」です。
主役ではないのですが、主人公が夢の中で見た世界で、見事な舞を披露する舞童がでてくるんですね。
それでは、あらすじを見ていきましょう。

あらすじ

中国の蜀という国に「盧生」という男が日々漠然と生きていました。あるとき、楚の国の偉いお坊さんにどう生きればよいか尋ねることを思い立ち、旅に出ます。
旅の途中で立ち寄った、「邯鄲」という町で宿をとると、そこの宿屋のおかみさんから栗のご飯が炊けるまでの間「邯鄲の枕(宿のおかみさんが仙術使いから得た未来について悟りを得られるといういわくつきの枕)」という不思議な枕でひと眠りします。
盧生が寝ていると、楚の国の皇帝の勅使がやってきて、皇帝の位を譲るからと宮殿に呼び出されます。
宮殿での生活は驚くほど素晴らしいものでした。
在位50年の時、祝宴が催されます。長命の酒がふるまわれ、舞童が舞います。
盧生も舞い始めると、だんだん景色が途切れてしまい、気づけば、栗のご飯が炊きあがり、盧生は現実へと戻ったのです。
五十年の栄華も一炊の夢だという悟りを得て、邯鄲の枕こそ、人生の師であると、盧生は感謝して、家に帰りました。


美少年が出てくるポイント

盧生の在位50年の祝宴で、子方(舞童)が舞を舞います。
舞童を大人が演じる場合もありますが、
主役が舞童の後で舞うので、子方からのシテの舞の対比がつくと
緩急が出てとても良いのだそうです。
美しい衣装をまとって舞う、美少年、ぜひ見てみたいですね。


なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。

【邯鄲/the能.com】
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_059.html

【9日、銕仙会「邯鄲」を終えて。 子方について。/柴田稔blog】
https://aobanokai.exblog.jp/4833973/