メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。

僧侶と稚児との男色を主題とする稚児物語の代表作『秋夜長物語』 感想

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(メトロポリタン美術館より)

ストレス過多で情報量の多い本が読めないのですが、お伽草子に収録の「秋夜長物語」はスルスルと読めたので、その感想などを。

 

 

お伽草子 (ちくま文庫)

お伽草子 (ちくま文庫)

  • メディア: 文庫
 

 

【あらすじ】
西山の瞻西上人、もとは比叡山東塔、勧学院の律師桂海が若いころ、三井寺の稚児梅若と恋に落ちます。
想いを遂げた後、すれ違う二人に業を煮やした梅若が、桂海に会いに行こうとする途中、天狗にさらわれます。
寺から梅若が消えたことを発端に、梅若の実家は焼き討ち、三井寺比叡山が戦争状態に。
竜の導きによって、救い出される梅若ですが、実家も三井寺も焼失してしまったのを見て、絶望して入水します。
その後三井寺に神様が現れ、梅若は桂海の信心を深くするために現れた仏の化身だったと告げます。
梅若の死を受けて桂海は悟りを深くし、名を瞻西と改めて、東山雲居寺を建立してそこに住みました。

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(メトロポリタン美術館より)

 

【感想】
この作品は、僧侶と稚児との男色を主題とする稚児物語の代表作。男色本の初めとも呼ばれているそうです(ウィキペディアより

桜の花にたとえられ、紅葉のように散っていく、こんな美しい描写のある稚児に出会えるなんて。と、ときめきマックス!
だからでしょうか…説話にしたかったのか、梅若が実は桂海を発心させるために現れた仏の化身だったというくだりが何とも悲しく…。
僧侶と稚児のラブストーリー(悲恋)、で読みたかったなーと、思いました。
(説話としては、恋人の死を乗り越えて立派な上人になったというオチがいいんでしょうけれども)
何はともあれ、二人の心が通じるまでのすれ違いや、通じ合ってからもなかなか会えなくてじりじりしたり、あっという間に読める名作です。

なお、絵巻がネット公開されているので、麗しい稚児の絵が拝めます(Googleさん、メトロポリタン美術館さんありがとうございます)

artsandculture.google.com