メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

麻耶純夫 雑誌さぶ1976年12月号「深川褌奇談」の感想のようなもの

こんにちは。メガネです。皆様楽しいGWを過ごされましたか?
私はアニメから火がついて、久しぶりに本好きの下剋上を読み直していました。世界観がしっかりしていて面白いです。

 

さて、林月光氏の月光仮面劇場を収集してきましたが、同時並行でさぶ掲載のソドミア小説(ゲイ小説と呼ぶより、こっちの方がなんとなくしっくりくるので、そう呼ばせてください)も収集しています。


月光仮面劇場の見たい話はほぼ見れたので、これからはソドミア小説収集に切り替えていこうと思っています。はい(月光仮面劇場は国立国会図書館で複写できますのでぜひ1996年までは掲載されていることがわかりました)。

 

で、ソドミア小説、最初から最後までドエロのものもいいのですが、どちらかというと肉体の交流より精神の交流を見ているのが楽しい派なので、そこに限定すると1970年代に書かれた小説が私と相性よさそうです。

特に歴史ソドミアと軍隊ソドミアはおいしくいただいております。もぐもぐ。歴史ソドミアは、1970年代のさぶに歴史ものをたくさん書いている麻耶純夫先生の作品が好みです。このブログでも以前「元禄褌考」を紹介したかと思います。

 

todoroki-megane.hatenablog.com

 

「元禄褌考」以降に出会った、麻耶先生の作品で1976年12月号「深川褌奇談」1977年2月・3月号「江戸役者」もとても面白いので、ツイッターでは一部紹介しましたがブログにも備忘録残してこうというのが、今回の記事のテーマです。はい。今回は「深川褌奇談」のご紹介です(前書が長い)。

褌がもたらす甘美で危険な死
「深川褌奇談」

材木問屋の息子玉之助はまだ前髪のある美少年。ある日仇助という背中に首が人間で胴体が蜘蛛の彫り物をし、褌にもその絵姿を写す男と一夜を共にする。一目ぼれしてしまう玉之助、仇助は褌を交換すると、そのまま消えてしまうのだった。


仇助の虜になってしまった玉之助。恋しさあまりやつれ、もらった褌で自慰をする。それを見てしまった奉公人の権蔵。身代わりと知りながら自ら願い出て玉之助を慰める。
玉之助は権蔵に背中に仇助と同じ刺青を入れてほしいという。
権蔵は彫師を探すが、彫師たちは玉之助がいう図案がタブーだと忌避する。やっとその図案を掘ってもらうことができるようになった権蔵。
刺青を入れる日々の中、ある日女郎蜘蛛を玉之助にプレゼントする。すると、玉之助は喜び部屋中を満たすほど蜘蛛を集めるようになった。
蜘蛛は玉之助の褌に噛り付き、玉之助は乱れる。そして、一番最初に飼った女郎蜘蛛がほかの蜘蛛を蹴散らし、玉之助の褌に嚙みつくと、玉之助はそのまま失神、その3日後、玉之助はこと切れた。
その日は、奇しくも権蔵の刺青が出来上がった日だった。
権蔵は玉之助の死を嘆き、入水自殺する。


玉之助の褌は寺で回向が済んだ後、古道具屋に下げ渡されていた。その褌を見初めた16歳の若者が次々と玉之助と同じ死に方をする。
玉之助の両親と玉之助と同じ死に方をした珠太郎の両親、梅之助の両親はこれ以上の被害者が出ないよう、寺の住職に相談して、3人の少年の供養を行うこととした。
3人の供養の灯籠と褌が川を流れる中、一人の男がその様子を見ている。男は仇助のようにも権蔵のようにも見えたが、誰もはっきり見ていないので、真相は闇のなかであった…。


【感想】
私の中で麻耶先生は褌フェチのイメージ(元禄褌考が強烈すぎて)なんですが、褌フェチの熱量が噴出している作品だなと思いました。
褌を脱がないので、ある意味着衣エロ…。汚れる褌、その臭いに惹かれて蜘蛛が褌にまとわりついたり噛みついたりするという発想がもう、すごいというか。よくこの発想が1970年代に産まれていたと感心してしまいます。
部屋中に蜘蛛を飼うとか、見方によっては耽美JUNE路線でいけるのでは…とおもってしましいました。現にちゃっかり大竹直子先生挿絵で「冬虫夏草」という作品が別冊JUNE1号(1996年9月)に載っているので。
JUNEと親和性が高かそう。はい。

いろんな作品を紹介しようと思いましたが、「深川褌奇談」のあらすじをまとめるのに精神力を結構使ったので、他の作品はまた別の機会に。
「江戸役者」は桜姫東文章取り上げているし、「冬虫夏草」は美少年の死体からとれる媚薬となんというJUNE! という作品なので、紹介記事頑張ります。

ここまで読んでくださりありがとうございました。