メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

【お能に出てくる美少年を知るシリーズ第15回】「自然居士」のご紹介

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こんにちは、メガネです。
能のブロマンスは「松虫」だけかと思っていましたが、そんなことはないと調べるたびに痛感します。
さて今日ご紹介するのは、自然居士。あれ、あの話、少女では…? と思う方、ちょっとお話聞いてください。 

あらすじ

都で名高い青年僧・自然居士の説法の場に現れた、一人の少女(少年)。彼女(彼)は一枚の小袖を居士に捧げ、父母の回向を願います。
しかしそのとき、二人組の男が現れ、少女(少年)を連れ去ってしまう。実は彼女(彼)は、この小袖と引き換えに男たちに身を売ったのでした。

居士は少女(少年)を救うべく、男たちを追いかけてゆきます。やがて琵琶湖岸で追いついた彼は、漕ぎ出した男たちの船に乗り移ると、少女(少年)を返せと迫ります。説法の名手である居士の舌鋒に、少女(少年)の返還を余儀なくされた男たちは、交換条件として芸をして見せろと言う。居士は屈辱ながらも、少女(少年)のため、舞を舞い、簓を擦り、鞨鼓を打って芸を尽くします。やがて船は対岸に着き、居士は少女(少年)を伴って都へ帰るのでした。

美少年はどこ!?

あらすじを読んで、美少年はどこと思った方、いらっしゃいますよね。
実はこの演目、説法に現れた少女役、少年役になる場合があるのです。
親の回向のために入手した小袖と引き換えに身を売る少年、
身を売った先の男に連れ去らわれる少年、
都で名高い青年僧に助けられる少年、
一緒に都に帰る居士と少年。
想像しただけでちょっとブロマンス。
ありがとう、少女でも少年でもよい役でいてくれて。

若衆研の大竹先生の発表で自然居士が男色ものかも、
といわれていた理由が分かった気がします。


なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。
【自然居士/the 能.com】
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_074.html

【自然居士 | 銕仙会 能楽事典】
http://www.tessen.org/dictionary/explain/jinenkoji