こんにちは、メガネです。 お能にでてくる美少年を知るシリーズも第3回。 お楽しみいただけているでしょうか??(ドキドキ…)
今日は、7歳で天狗に拉致られて、芸事いろいろ仕込まれた結果、 アイドルのように成長した少年が、 清水寺で父親と再会する「花月」をお届けします~
あらすじ
昔々、 九州筑紫の国、彦山(ひこさん:英彦山とも)の麓に父子が暮らしておりました。 しかし息子が7歳の時に行方不明に! 父は出家し僧侶となり、諸国修行の旅に出ます。 そして、数年後、春の京都にたどり着いた僧侶は、清水寺を詣でます。
清水寺の門前の人に、僧侶は「何か面白いものはない?」と問いかけます。 すると 「いやー、花月(かげつ)という少年がいてですね、 それはそれは面白い曲舞(幸若舞の母体になった舞)を披露するんですよ! あ、噂をすれば花月! ちょっと見ていてください」 と門前の人は花月を呼び寄せて、一緒に小歌を謡います。その後、花月は、桜の花を踏み散らす(花の蜜でも吸っていたんですかね…)鶯を弓で射ようとしますが、あ、それ、仏教の殺生戒だから、やめてねという言葉に従い、思いとどまります。 さらに、門前の人の勧めで、花月は清水寺の由来にまつわる曲舞を舞います。
その様子をずっと見ていた僧侶は、「あ、この子(花月)、自分の息子だ!」と確信し、「もしもし、花月くん、私を覚えているかい!? お父さんだよ!」と名乗りをあげます。 「え!? 本当ですか!?」 喜びの父子体面を経て、花月は、7歳で天狗にさらわれてからの旅路を、舞で披露し、父と一緒に、仏道の修行の旅に出るのでした。
萌えたポイント
7歳で天狗にさらわれ、数奇な運命を辿ってきた少年、花月くん。 さらわれた後に諸国をめぐり、京の都へ辿り着いた花月は、 さまざまに舞い謡う遊芸の少年になっていました。 もともと才能あったのでしょうか。 気の利いたトーク力で、人気を博し、 「恋は曲者(室町時代にこのタイトルはずるい)」のはやり歌を謡ったり、 清水寺の由来を物語る曲舞を見せたり、鞨鼓を打って舞ったり、 諸国の山廻りの様子を振り返ったり……。 もはや、室町時代に存在したアイドルだったのではないでしょうか。
子別れという重たいテーマの雰囲気はなく、 謡も舞もあくまでも軽やかで華やかで、 可憐で利発な花月少年の魅せる遊芸を存分に楽しめると聞いては、 見るしかないなと思います。
なお、花月の名前の由来ですが 花月の「花」の字は、「春の花」、「夏の瓜」、「秋の菓」、「冬の火」、 いずれも「か」ですが、因果の果にも通じるなど いろんな意味を含んでいて、ネーミングセンスに脱帽です!
親子の絆ものでありつつ、花月くんの華麗なる舞を存分に楽しめる、 例えるならまるでアイドルステージのような、お能(個人の見解です) 見てみたい! という思いが募ります~^^
なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました ありがとうございます。 【花月/the 能.com】 https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_051.html
【能 花月】 http://junseikai.or.tv/old/kagetsu.htm
いやー、能って、もっととっつきにくいかと思っていましたが 時代変換したら意外と面白くて、興味が泉のように湧いてきます。 古典芸能侮りがたしです。
だんだん沼に入っていくメガネがおとどけしました~