メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

猟奇訪問 女装の美少年ジュリアリンダ会見記

季刊男色、怪奇雑誌編を編むにあたり、原稿草稿をポチポチ公開していきます。

 

猟奇訪問 女装の美少年ジュリアリンダ会見記
『怪奇雑誌』1951年8月号 高澤與志夫

 ストリップ全盛時代、日劇小劇場に突然すい星のように現れた女装の少年ストリッパー、ジュリ・アリンダ17歳。どうみても二十一二の美女にしか見えない。
 洋舞が得意で、今まで進駐軍の慰問を専門にしていたが、「園はるみ」と仲良しで、彼女に話を持ち掛けられ、日劇小劇場に出るようになった。
 生まれはブラジルサンパウロ。7歳で来日。両親は外国で叔母の家に身を寄せているが、顔が真っ黒で、背が小さいパトロンがいる。パトロンとは一緒に寝るが何もない。パトロンが戦争であれをなくしてしまったためだ。
 男からも惚れられ、女からも追い回される彼の性自認は男で、女が好きだという。
 パトロンと一緒にアメリカに行き、踊りを勉強して、日本に帰ってくるという彼。その時には長い髪を切って、さっぱりした男になって。と続ける。
 家族のことは多く語りたがらない。兄は特攻隊で死に、母は上海にいるらしいがはっきりわからないそうだ。
 芝居もやらされるがあまり上手ではないことを本人も自覚し、踊りだけで生きていきたいという。
 取材した日の彼の姿は、白のブラウスに、空色のズボン、ナイロンのハンドバックに赤い色のハイヒール。彼の美しい目がいつまでも忘れられなかった――とは取材記者談。