メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。

「推しの尊みが過ぎる!」全訳 男色大鑑歌舞伎若衆編 私的萌え話ベスト3

f:id:todoroki_megane:20210120083847j:plain 急に秋が深まり、服装難民のメガネです。みなさまいかがおすごしでしょうか?

メガネが個人的にプッシュしております男色大鑑、
とうとう、とうとう、『全訳 男色大鑑 歌舞伎若衆編』が出版されました!(メデタイ!)

版元ドットコムサイトより引用
作者の西鶴が、バンバン物語に出ていたり、西鶴が1000人の若衆を相手した(契った)と自慢していたり(自慢ですよね…)、イケメンより自身をイケメンに描いてもらったり、西鶴の趣味(?)爆発! また、武士編よりは平和だと思っていた、歌舞伎若衆でも、病死や自殺があったり悲しい側面も抱きつつ、堂々と出ました!(いろいろスゴイ!)

というわけで、私的萌え話ベスト3を発表したく思いますが、その前に、 いかに今回発行された現代語訳がいかにメガネの心に響いたか、少しだけ語らせてください。

全訳 男色大鑑 歌舞伎若衆編のここがすごい!

(1)自分に合う若衆へすぐにたどり着ける、若衆チャートがついている
最初から話を読むのもありですが、このチャートをもとに、推し若衆にたどり着き、その若衆の話から読むのも楽しいです!

(2)美麗口絵が楽しめる
江戸BL界隈をにぎわす、漫画家・イラストレーターさんによる、若衆のイラストがそれはそれは眼福で、ひきつけられること間違いなしです!

(3)現代語訳がフランク。そして、解説・図解がとってもわかりやすい
とても読みやすい現代語訳なので、スッと頭に入ってきます。解説や図解もあり、その当時の文化・風俗(若衆を買う相場とか)にも触れられるようになっています。

(4)最初から最後まで読み切るのがおすすめ
物語だけでなく、まえがき・あとがき、巻末資料も素晴らしいので、ぜひ最初から最後までなめるように読んでください!

 

というわけで、メガネの一押し、歌舞伎若衆編萌え話ベスト3の発表です!
若衆よ、私を「殺じをれ!」(当時の役者に贈る最高の賛辞だそうです「いっそ、殺してくれ!」)

ラブストーリーは突然に
巻の5-1 涙の種は紙見世

桜の枝を手にした藤村初太夫が、その枝を奪わんとする狼藉者に絡まれたとき、助けに現れた美貌の風流男に恋に落ちる。そのままハッピーエンドかと思いきや…。
(メガネのまとめ)

こふで先生のイラストの効果もあってか、情景がとても鮮やかに浮かび上がる物語。まず美形の若衆が桜の枝を持っているという演出が憎い(美しさにさらに花を添えるとは見事)。そして、それが奪われんとするとき、知恵があり、腕の立つ美貌の風流男が現れ、鮮やかに事件を解決するなんて、初太夫でなくてもキュンとしてしまうのでないでしょうか。 ひと時、心通わす二人ですが、待っているのが輝かしい未来でないあたりが涙を誘います。 二人の行く末がどうなるか、読んで確かめてください。

太夫の櫛より若衆の楊枝
巻7-5 素人絵に悪や金釘

地引き網漁を見に行った若衆一行は、びっしりと金釘が打たれた若衆絵板を発見。若衆の岡田左馬之助はこの絵に描かれた若衆を憐れんで、呪われないよう、涙を流しながら釘を自らの手で抜いたのだった。
(メガネのまとめ)

はい、このお話を選んだのは、若衆チャートで私が岡田左馬之助を引き当てたからです。 なので、割と最初のほうに読んだのですが、前半と最後は旅の紀行文を読んでいるみたいで当時の風俗などもわかり、とても興味深い。 呪いの若衆絵板の釘を抜いてあげた岡田左馬之助のエピソードから、いかに岡田左馬之助が人気役者で人々に愛されているかを、つらつら例をあげて説明する西鶴の、意気込み度がすごいと思わせられる一編。

色気づいた人形が愛する役者の名を呼んだ
巻8-3 執念は箱入の男

若衆の呼ばれた座敷にそっと忍ばされた美少年人形。それはいつの間にか魂を宿し、毎晩本命の若衆の名を呼ぶようになったものだった。若衆の盃をさしてもらったり、若衆への恋は叶わないと説得され、人形は納得し、若衆への思いを断ち切った。
(メガネのまとめ)

まるで生きてるように見える人形に、本当に魂が宿って、若衆萌えというか推しになってしまったという話が江戸時代に成立していてびっくり。しかも、呪いのなんとやらではなく、ただ推しの名前を呼ぶだけで、舞台を見ていたならば、人形なのに「殺しをじ!」と叫びそう。 (美少年)人形にまで焦がれられる美しい若衆って、どんな姿なのだろうかとわくわくしながら読みました。人形の一挙一動に興ざめしたと西鶴は書きますが、説得されて思いを断ち切るなんて、人間でもなかなかできないのに、この人形はよくできた子なんだなと思いました。

後記

いかがでしたか? 今回は3篇だけの紹介でしたが、紹介した以外にも面白い話はたくさんありますし、稀代の若衆などバンバン出てくるので、本当は全編丸っと推したいですが今回はこのあたりで留めておきます^^ 先にも申しましたが、現代語訳が読みやすいことはさることながら、各話、注釈、図解などまですみずみまで楽しめるものとなっており、萌え話かと思いきや江戸風俗を知ることのできる学術書としても有益だと思いますので、気になったらぜひ手に取ってくださいね。

いやー、1970年代に発行された現代語訳を入手できずにやきもきしていましたが、長く生きてると、さらに進化したものが読めるようになるなんて、幸せなことですね!