メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

桜姫東文章上の段を見て

こんにちは、メガネです。
シネマ歌舞伎は何度か見ているんですが、生まれて初めて生の歌舞伎を見ました。
演目は「桜姫東文章」。
坂東玉三郎さまがみたいという願いをかなえたわけですが、まさか稚児姿とお姫様姿を同時に拝めることになるとは。幸せいっぱいです。

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稚児と僧侶の心中失敗事件から17年後、稚児の生まれ変わりのお姫さまと生き残った僧侶の因縁話。
ちょっとだけ考察めいたことが浮かんだので、記録しておきます。

桜姫の前世、稚児の白菊丸ですが、名前に丸がついていること、お寺で大事にされていたことから、稚児灌頂を受け、仏の化身として扱われていたのではないかと思います。
その白菊丸が僧侶清玄と恋に落ち、心中を選びますが、白菊丸だけが死に、清玄は生き残ります。
生き残った清玄の側にまとわりつく青い霊魂。
あー、闇落ちかと思いました。
記憶の元が鬼灯の冷徹という漫画なので、裏取りをしていないんですが、地蔵菩薩閻魔大王は表裏一体と考えられています。
救うものと裁きを行うものがセットになっているというのは面白いですね。
この方式を桜姫に当てはめると、

白菊丸=救うもの
桜姫=裁くもの
という図式が浮かびます。
白菊丸は結局清玄に何もできないですが、桜姫は自由奔放に清玄を拒み、権助を受け入れ、女郎に身を落としても、自分にされた仕打ちに対して裁きをなし、最後は家宝も取り戻して、元のお姫様に戻って大団円。
これは、桜姫に転生した白菊丸の復讐譚だったのかなと思いました。

いや、全部想像ですけれど。

花道がよく見えない席で観劇したので、
ぜひ、6月の下の段と合わせて、円盤化してくれたらいいなぁと思います。お願いします、歌舞伎座さま。