メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

荒木田麗女という江戸時代の女流作家の男色小説のあらすじがすでにエモい話

こんにちは、メガネです。
心ときめく男色はいねがーとなまはげの如くなっていますが、先日読んだ『「現代語訳」賤のおだまき』の解説に載っていた、荒木田麗女という江戸時代の女流作家の書いた『怪世談』という作品集の中にボーイズラブを思わせる作品が載っているとのことで、ネットサーフィン。
現代語訳はあいにく見つけられなかったのですが、これは平安王朝男色! という作品を2つ見つけましたので、ご紹介しておきます。

 

人の恋路を邪魔するやつは…
「何某院」

幼少のころから山の座主に預けられていた大納言の末の若君は、院の御声掛かりで下山し侍従として朝廷に仕えることになった。
侍従はひそかに宰相の律師と契りを結んでいたが、侍従に懸想する右大弁に騙されて河原院に連れ込まれてしまう。
ところがその夜半に、今度は侍従が右大弁の眼の前で鬼に連れ去らわれる事件が起こり、報告を受けた大納言家は大騒動。
やがて侍従の無事が確認されて事件は一件落着。
事件の真相は、右大弁を懲らしめるために、侍従の家来の右近の将曹が自ら鬼に仮装して仕組んだ狂言だった。
(参考:「怪世談」についての一考察 : 第十二話「何某院」と第三十話「天の河」の構造をめぐってより


義兄弟の想いの深さよ…
「立田山」

人がらも才能も恵まれ、活躍していた少将が些細なことで島流しに。そのころ南の海に海賊が現れ、朝廷は退治できずに負ける始末だった。
しばらくすると、「流された少将以外、海賊に太刀打ちできない」とうわさが流れ、朝廷が少将を召還、海賊退治に向かわせる。
戦いを翌日に控えた夜、少将が海賊の領域に近づくと笛の音がする。少将も笛を吹くと、笛の音が合わさっていく。すると海賊がのった小舟が近づいてきた。その海賊はなんと少将の乳母子だった。
乳母子曰く「少将が島流しにあったので、自身が海賊となり、少将が討手使になるように仕向けた」という。
少将は驚き、乳母子を罪人にしたくないと思う。
翌朝、海賊は少将に城を明け渡し、少将は事情を朝廷に申告、乳母子の命乞いをする。朝廷も哀れに思い、海賊は赦されて都から追放され、乳母子は山寺に行く。
少将はこの手柄で昔のように栄えたとか。
(参考:「現代語訳」『賤のおだまき』より

あらすじだけでもうエモいので、現代語訳出ていないか必死に探しましたが、出ていませんでした。なお、「怪世談」は『荒木田麗女物語集成』という本に掲載されていますが、古本しかないようで、大きな図書館だとおいてあるかもしれません。

しかし、ますます古文とかちゃんと勉強しておけばなーと思わせられる今日この頃です。
はい。