メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

綿貫六助

最近のことなど

感想をたくさん書きたいと言いながら、思考もまとまらず、2月も半分を過ぎました。いかがお過ごしでしょうか。福島次郎氏の男色小説を探そうキャンペーンを意地になってやっています。見つからないとわかると、余計に探したくなるのなんででしょうね。さて、…

文学フリマ京都で「綿貫六助作品集」を出します

師走に入り、ばたばたしていたら、腕の腱鞘炎が悪化し、しばらく通院することになりました。整形外科、時間がかかるから、「ふんどしニッポン」の本読み終えたよ…。 ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史 (朝日新書) 作者:井上 章一 朝日新聞出版 Amazon…

最近のことなど。

左様なら7月、今日は8月。暑中お見舞い申し上げます。暑さに負けず、健康にお過ごしですか?メガネさんはちょっとしたことで、熱中症になりかかるので、水筒が手放せません。最近のお気に入りはミント緑茶を水出しにして、梅シロップを適量容れるドリンク開…

ありがとうございます!

最近綿貫六助の記事の閲覧率が上がってなんでだろう? と思っていたのですがとあるコミュニティサイトでご案内いただいていたようで、ありがとうございます! 綿貫六助、読めば読むほどスルメイカのように味が出るので、興味深いですよね。綿貫六助がもっと…

季刊男色 その後の綿貫六助

■まえがき 私が綿貫六助について調べた、2021年。次の年に革命がおこる。綿貫の小説が収録された文庫が出る、国立国会図書館デジタルが全文検索対応となり、綿貫の資料にあたる率が上がった。さらに2023年に入り、1970年代のゲイ雑誌で綿貫の特集があったな…

詩の中に綿貫六助が出てきた話

ゲイ雑誌「アドン」1979年6月増刊号に綿貫六助の「丘の上の家」「静かなる復讐」の掲載があるとのこと(花笠海月様、情報ありがとうございます)、作品掲載だけでなく、綿貫六助についての説明もあり大宅壮一氏と木村毅氏が綿貫に言及していたらしく、それは…

綿貫六助の軍旗祭の不祥事について調べていて

こんにちは、メガネです。久し振りにマウス腱鞘炎を発症して、右手首がいたいです…。さて、綿貫六助について地味に調べているんですが、中でも気にかかっているのが除隊の理由にもなった「軍旗祭の不祥事」。六助、、、いったい何をしたの…? いろいろ見てい…

綿貫六助「林檎が白鳩になった話」

お久しぶりですメガネです。急にブログ内の稚児関係の記事が注目されていてびっくりしているんですが、いったい何があったのか…。稚児物語ですと、最近では異母兄弟の愛憎物、「花みつ月みつ」がおすすめです。現代語訳は、下記サイトのものが超読みやすいで…

綿貫六助「小松林⑥」『霊肉を凝視めて』より

六「だつて、お爺さんをおき放しにして、二人だけで松林のなかへ行くのは、變ぢやないか。此處でかうして、お爺さんの寢顔でも見ながら、飲んでゐる方がいゝなあ!」 おたつは輿ざめたやうすで、壓しつけられたやうに笑ひだした。「つまらない事を考へたもの…

季刊男色 綿貫六助

はじめに 近代文学を支えた文豪たちの書の中に男色や稚児文化が息づいていることを知り、もっと男色文学があるのではないかと資料を探している中で出逢ったのが、綿貫六助という作家である。 実は以前に読んでいた叶誠人氏の「軍隊と男色」(個人誌・kindle…

綿貫六助「小松林⑤」『霊肉を凝視めて』より

五 哲二が凋れかへつて家にはいつてゆくと、もう酒の支度ができてゐた。 海の水ですつきりとした氣持になつてみると、あだつほいおたつよりも、ぎごちない倉吉爺の顏の方が やつばり哲二の氣に入つてゐるのであつた。お人好の爺に對して、しやあら/\として…

綿貫六助「小松林④」『霊肉を凝視めて』より 

四 障子の外から女同志の話聲がきこえた。哲二がねがへりを打ちながらきいてると 何でも、本家から女がきて、おたつと朝のお膳立てについて何かしやべつてるらしい。 哲二は、酒のほとぼりであつくなつてる身内から、おさへ切れないやうな力が むくむくと 湧…

綿貫六助「小松林③」『霊肉を凝視めて』より 

三 茶屋の世話やきで疲れたおたつと、船から歸つてきた倉吉が、本家のどさくさしてゐる孫子から離れて、二人でゆつくり骨を休める所が、この林の家なのである。 それは、小さなかやぶきのまツ四角な平屋であつた。小松の繁つてゐる小高い岡の上にあるので松…

綿貫六助「小松林②」『霊肉を凝視めて』より 

ニ 夕暗のなかをたどつてきた哲二の眼には、吊り洋燈の黃色い光が、軒に斜に立て掛けてあるよしずのわきから、まばゆくばつとさしてきた。と、倉吉のなつかしい橫顏が、くつきりと彼の眼に映つた。彼は、店には入るのをことさらためらつてゐた。悅しさに踊る…

綿貫六助「小松林①」『霊肉を凝視めて』より 

この一篇を私の最愛なる老漁夫の靈前に捧げる。 一 哲二は、變人なので、將校仲間からも組外れにされてゐた。 日曜や祭日には、ほかの將校たちは、上官を訪問したり、倶樂部や集會所あたりで、酒を飲んだり、玉突きなどをしているのであるが、哲二は同瞭など…