2021-11-28から1日間の記事一覧
五 哲二が凋れかへつて家にはいつてゆくと、もう酒の支度ができてゐた。 海の水ですつきりとした氣持になつてみると、あだつほいおたつよりも、ぎごちない倉吉爺の顏の方が やつばり哲二の氣に入つてゐるのであつた。お人好の爺に對して、しやあら/\として…
四 障子の外から女同志の話聲がきこえた。哲二がねがへりを打ちながらきいてると 何でも、本家から女がきて、おたつと朝のお膳立てについて何かしやべつてるらしい。 哲二は、酒のほとぼりであつくなつてる身内から、おさへ切れないやうな力が むくむくと 湧…