メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

映画「犬王」を見た話

犬王を観よう観ようとして、観れず、最終週に何とか滑り込みました。
以下感想です。

事前に公式ツイッターでなんで室町の話に平家物語の解説が
ガンガン出てくるのか頭にはてなマークが浮かんでいましたが
見たら氷解。
能を主軸に置いた話ではなく、犬王という異形の猿楽師が
平家の浮かばれぬ魂を謡いとダンスによって成仏させていくお話だったんですね。


成仏が叶ったら犬王の異形が普通の人間のものとなるというのは
どろろっぽいと思いました。


そもそも犬王が異形として生まれたのは
父親の手に取った呪いの面の所為でしたが(盛大なネタバレ)
その姿で産まれて、友魚と出会い、
平家一族の魂を見て物語を聞き取り、それを人々に伝令する。
ここに平家がいたぞ。忘れてくれるなと。
犬王の存在は平家の魂のためのある意味祝福だったのでしょう。


草薙剣を引き上げたせいで、父を失い、視力も失った友魚は
犬王と平家の魂と出会って、人生が変わります。
生きがいを見つけたんだなぁと、彼が友有と名乗ったときに思いました。

琵琶法師の琵琶と友有のロックの琵琶。
観世座の藤若の静かな舞と犬王のロックでダイナミックな踊りと謡の対比。
ロックを持ってくるのは古いという意見を見ましたが
私的にはわかりやすくていいなと思いました。
この映画を10年20年先に見た時に
今あるJ-POPで表現したらやはり古いと思われるなら、
記号としての新しいものとしてのロックを使うのはありだなと思いました。

どろろよろしく、完全な人の身体を手に入れた犬王は、
普通の猿楽師になります。
今まで歌ってきた謡もなにもかも否定されます。
しかも友有の命を人質の取られて。
うわー、義満、虫も殺せそうにない顔をして
やることがえぐいのは、さすが三代将軍足利義満だと思いました。
(個人的なイメージです)

自分を変えた犬王と変えられなかった友魚の命運は分かたれます。
そのうえでの、最後、現代。

友魚の父の亡霊が名前を変えたら探せなくなると
云っていた伏線がここで回収―!

ほほーとなりました。

個人的に面白かったです。
あと、小面をつけてバレエ踊る犬王が個人的にとても好みです
(本当の顔はまー、うん。賛否別れるよね)
美貌を描くって、難しいなーと思いました。


今度は本を読んでみようと思います