メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

2024年5月19日文学フリマ東京で、軍隊男色小説「炎と煙」シリーズを発行します

何がきっかけで調べ始めたのか、とんと忘れてしまったが1970年代の『薔薇族』を調べている中で、花田勇三という作家に出会った。


何せ読者からべた褒めされている。やややと思い、当該作品を国立国会図書館に複写で申し込んだ。タイトルは「素っ裸の鬼たち」。

これが私と軍隊ソドミア小説「炎と煙」シリーズとのファーストコンタクトである。


花田勇三氏の「炎と煙」シリーズは、1975年から雑誌『薔薇族』『さぶ』に連載された、戦時下、中国を舞台に活躍する鉄道機関兵・花田勇三の物語だ。

私鉄の鉄道機関助士であった花田は、当時鬼と噂され、皆に避けられていた鉄道機関士・大田誉と運命的に相勤(コンビ)となり、花田は大田の鉄道機関士としての腕前と武骨な性格に次第に惹かれ、大田もまたどこまでもしがみつき努力する花田に惹かれ、2人はやがて心を通わすようになる。
幸せな日々を、一枚の召集令状が壊す。大田が召集された。行先も、連絡先も告げないまま。どこまでも大田らしかった(「炎と煙」)。

その背を追って、花田もまた鉄道機関兵として応召される。
応召された花田は、そのまっすぐすぎる性格から初年兵いじめにあう。それを救うのが戦友の新見だ。彼ともまた心を通わし、義兄弟の契りを結ぶ。(「素っ裸の鬼たち」)

無事、試験に受かった花田は鉄道機関兵になり、実習を経て、中国へ赴任する。壮行会で、花田に好きだと告白した金村という同年兵がいた。彼は酔って、前後不覚に陥った花田に体を寄せ、生きていてくれと願う。(「赤とんぼと機関車」)

中国に渡った先でであった、国鉄出身の黒羽は、何かと花田に言いがかりをつける。実は彼は花田が気になって仕方なかった。せっかく分かり合えた2人だが――。(「炎の柩」)

これ以降も、一夜のいい漢との邂逅(「泥濘」)、好感度の高い見習士官が着任(「散華」)、運命の男、大田と再会(「螢」)と話は続く。
番外編「雁」「鯉」もあり、花田と彼を取り巻く魅力あふれる戦友たちの物語に、グッと心を掴まれる。

これらの物語群は、しかし本にならなかった。初期のゲイ小説はよほどのことがないと、書籍化までは至らなかったのかもしれない。結果、名作であるにもかかわらず、残らず、インターネットにも記録されず、掲載誌が国立国会図書館にあるだけとなった。


もったいない。こんなに心を震わす物語なのに、当時あんなに人の琴線に触れたのに、忘れ去られて。


しかし、花田勇三氏がどこでどうなったかわからない。今はさすがに生きていないだろう。

けれども著作権は生きていて、切れる頃には私もきっとこの世にはいない。


どうしたら、この作品を私が好きな作品を同じように愛してくれる人たちとシェアすることができるのか。


そこで自身で、本にすることにし、著作権の裁定制度を利用して、印税を国に納める形で、今回、文学フリマ東京で販売することにした。
見本誌を出せば、文学フリマ事務局を通じて、どこかの図書館に残るだろう。そして何より、手に取ってくれた方の手元で、物語は暫くの間生き続ける。
それが私の、「炎と煙」シリーズに対して表する敬意の形だ。

ぜひ、5月19日の文学フリマ東京で、手に取っていただければと思う。

 

3月になってしまった…

感想を書こうとしながら瞬く間に2月が去っていきました。
寒い日々が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。

さて、軍隊ソドミア小説おいしいとあっちこっちで騒いでいたら
1980年代の薔薇族やさぶにも掲載があるし、
アドンやサムソンにも載っていますよと教えていただきまして、
しかして巻号がわからず、まんだらけの過去雑誌の目次画像とにらめっこする日々です。
軍ソドって、たいてい、念者が30代ぐらいのイメージですが、
40代50代がでてくる作品もあり、奥が深いなと思います。

 

で、軽い気持ちで入手した、月刊サムソン1992年3月号に
野戦病院という、戦時中の台湾の野戦病院を舞台にした軍隊ソドミア小説がありまして、戦争の描写は少なく、男たちの愛欲がこれでもかとぬるっと紡がれていて、
それはそれで楽しいです。
国立国会図書館になぜか、3冊しかない月刊サムソン。

そのうち2冊が1992年のもので、野戦病院のお話が読めました。

1話で憧れのタチ(BLで云う所の攻め)である大佐の軍医が出てくるんですが、
(40代のお稚児さんを抱えているのはちょっと初めてのケースでびっくりした)
9話でなぜかウケ(BLと同じ)になっていて、主人公がショックを受けるんですけれど、そのまま続くとなっておりまして、
これもしかするととんでもない大長編ではなかろうかと、1992年の月刊サムソンを探してヤフオクを眺める日々です。
でも全然見当たらないんですけどね。
国立国会図書館に納本があったらよかったのになぁ。

 

もうちょっとさがしてみます。はい。

怪奇雑誌目次

怪奇雑誌
(1)『怪奇雑誌 1949年2月号』
狒々親爺行状記    櫻井としこ
殺人請負業者    的場利吉
人間変造綺譚    木島江渓
猩々の妻になった女    及川正三郎
猟奇座談会 未亡人の性生活を探る
ものすごい女房    齊藤喜助
恋愛就職戦術    秩父甚次郎
暗がりの恋は甘く    南條哲夫
妙奇デカメロン
無幻荘探訪記    高澤與志夫
立小便の話
怪奇なる話題
奇聞珍聞
蛇を吞む女
明治奇談抄
巨人の見世物


(2)『怪奇雑誌 1949年4月号』
共寝をしない夫婦    今井辰也
えぐられた太股    大越誠一
生きている子宮    秩父甚次郎
乳房を出す女賊    佐々木充郎
猟奇座談会 好色芸者・男を語る
妙奇デカメロン
催淫剤を呑ます女    高澤與志夫
女体はのたうつ    及川壽郎
二度目の女房    横川しげる
エロコント・春の夜の魔女
怪聞奇聞
胸のときめく噺
都会の怪奇
風呂屋の怪物
色刷 春宵風流寝物語
付録 若夫婦虎の巻

(3)『怪奇雑誌 別冊 1949年4月号』
裸形の寫る鏡    高澤與志夫
夫を間違えた女達    有島五郎
畸形児の恋    大越誠一
男性恐怖時代 劇団三文座出演
恋愛学校参観記        高澤與志夫
美しいその顔に    一ノ瀬早苗
抓られたお尻    小關直美
日本デカメロン    南條哲夫
中国デカメロン    尾崎榮一
朝鮮デカメロン    關本喜仲
江戸奇抜異聞
三文座紹介
奇抜な浮世あれこれ
漫画    高野よしてる

(4)『怪奇雑誌 1949年5月号』
舌を嚙み切る    關本喜仲
女を夫に持った女    尾崎榮一
湯気の中の女体    大越誠一
接吻はいやいや    今井辰也
処女よさらば    及川壽郎
恋愛審判官    南條哲夫
わたし処女だわよ    秩父甚次郎
猟奇気焔 鳩の街女性の座談会
妙奇デカメロン
深夜の快音
奇妙な倉庫番
ほのぼのコント
食いつかれた花聟
江戸小咄
漫画
色刷 新緑風流夜話
付録 女可愛いや

(5)『怪奇雑誌 1949年7月号』
女肉に喰らいつく    貴島みどり
乳房に吸つく男    大越誠一
股の間の肉塊    南條哲夫
風呂屋の娘の色談義
情炎女房    今井辰也
アトリエの欲情    尾崎榮一
人を殺した春画    大泉三郎
夫婦愛を濃厚にする法
妙奇デカメロン
奇聞怪聞
漫画
色刷    桃色寝物語
付録    夫婦うれしや

(6)『怪奇雑誌 1949年9月号』
山を走る裸女    秩父甚次郎作 小田利美画
涼風好色夜話    高野よしてる画
人工受胎をされて    赤木主人
河から拾った裸女    尾崎榮一
睾丸を食べる女    南條哲夫
肉体の疼く貞女    大越誠一
女に強姦された経験告白集
出戻り娘の話
深夜の女の話
年増の女の話
胸のときめく恋人の愛撫法    加賀山英子
醜男でも女に惚れられる法    井上達文
夜から朝まで妻を満足させる性愛技巧    三好きん子
朝から夜まで 良人を満足させる性愛技巧    佐々木俊彦
猟奇座談会 良人を二人持っている女達
妙奇デカメロン

(7)『怪奇雑誌 1950年1月号』
妙奇デカメロン    赤星重三郎
情熱の裸女    秩父甚次郎
新春お色気草紙    梅川忠之介
検黴兵    南部幸彦
欲情布団    木島秀夫
童貞の結婚初夜    桂木仁章
夫婦愛欲闘争術    小白川正秋
未亡人と陰部    大越誠一
息づまるズロース    今井辰也
腹上死させる女    南條哲夫
とんだ間違ひ
これが世相
証拠充分
要心深い
これはこれは
思い出した物
特集・閨房技術告白小説集
性愛技巧を覚えた私
恥をかいた初夜
性交の度数に悩む
私はオルガズムを体験した

(8)『怪奇雑誌 1950年4月号』
目次ページなし

(9)『怪奇雑誌 1950年5月号』
カイキキ先生行状記    中畑春雄
泰西怪画名作集    ハインリッヒ・クレイ
聖女が獣になる時    相原順三郎作 小田利美画
夫の匂う夜    
肉体の試験    平野元
見合は肉体で
妙奇デカメロン
とかく処女と言うものは    三宅淑夫
乳房一つだけの女    南條哲夫
猟奇座談会 春婦初夜を語る
醜男と美貌の妻    巽千代吉
お妾別荘の怪秘密    尾形庄次郎
白昼の妖夢    秩父よし子
女房相撲    土俵四股股平
妻をかける話
美女と学僧の話
●の婿になった話
甘き風と女の話
お立めのぞき    大越誠一
死際の抱擁    藤原彌吉
八十九才の女と男妾    尾崎栄一
雪御殿の裸姫    秩父甚次郎

(10)『怪奇雑誌 1950年 第3巻 第7号』
人獣と妖姫
怪奇写真・女体乱舞
日本の貞操帯    落合元雄
好色天国千夜一夜    遠藤隆吉
すぐ解る処女鑑定法    南條寺毅
丸の内 銀座 浅草の助平女紹介    本誌探訪記者
学生エロ・アルバイト    高橋茂夫
処女割りと童貞開き    大泉健康
四つん這いの淫婦    平野元
女体の口髭    日高三郎太
野生の求愛    秩父甚次郎
女社長の色修業    猟奇座談会
美少年と女郎蜘蛛    南條哲夫
華々しき淫妻    飯野甲斐
腹部の焼鏝    北川安吾
淫魔    巽千代吉
或る性的変質者    山村徳次郎
丑の刻参りと死の死闘    土俵四股平
女相撲恋の狂乱    加茂三千彦
歌謡界 岡晴夫 霧島昇の巻    稲葉記正


(11)『怪奇雑誌 1950年 第3巻 第8号』
蛙娘の愛戯
女体の求淫
女は男をたぶらかす    奈良計三
当世好色娘七ツ道具    下田多七郎
私は性的変質者だ
獄中の淫婦たち    林田勇蔵
変態男と変態女    菊地文四郎
女の呪詛と死闘    土俵四股平
好色三十女と四十男    服部二郎
素適に安い女の話    大関初郎
性愛やきもち異聞    駒場道夫
ベラボー好色奇談    吉見谷巌
蚊帳の中の男女    時庭昌夫
血だらけ淫婦傳    日高利夫
布団の下の秘密    巽千代吉
猫に甜められた女    大越誠一
妖婦・唐獅子お玉    南條哲夫
吊り下がる裸女    秩父甚次郎
淫蕩一族    北川安吾
女肌にのる蟇    平野元
女の体を持つ男    大沢俊子
紅トミー 小夜れい子・姉妹の変態秘話    吉田喬夫


(12)『怪奇雑誌 1950年 第3巻 第9号』
ペロピス国綺譚
怪奇写真・女体乱舞
暗闇変態秘話    常盤徳太郎
処女を捧げる女達    本堂計三
責め抜かれた女達    三宅春次
僧侶女犯譚    戸野泰助
童貞を捨る時期と場所
科学的姦通発見術
博打の仁義の話
狂乱の熊娘    秩父甚次郎
女を恋する女    今井辰也
情痴の顔    徳川雪太郎
怪美人乱交記    桜井雅章
女の毛を剃る男    青木憲一
裸踊りの恐怖    平野元
奇珍話 顔まけエロくらべ    小松多門
老人はお色気と共に    清水仁
夏の夜の猟奇夜話    大野秀春
怪奇好色異聞    菊地文四郎
未完成閨房録    北川安吾
さかさま夫婦    巽千代吉
可愛がって頂戴    秩父甚次郎

(13)『怪奇雑誌 1950年 第3巻 第10号』
女人天国奇談
怪奇写真・女体の誘惑
火あぶりの淫婦傳    日高利夫
媚薬を飲んだ女優    青木憲一
未亡人の九本の毛    飯野甲斐
猿女    平野元
賞品になる女体    巽千代吉
接吻痣    秩父甚次郎
好色の匂う話題    真木順三
山々に妖女あり    渡辺文章
接吻した人・された人    屋代二平太
猥談旦那芸    大島流
東京遊郭ご案内    幸田風太
鼠小僧の変態振り    辰巳新太郎
浮気は四十から    桜井とし子
乳房・やわ肌・ストリップ    井上長一郎
ハマの変態五人女    吉田喬夫
イナリ町の男娼さん    小松多門
未亡人倶楽部の生態    山本定夫
女護ヶ村受難記    尾崎栄太郎
カイキキ先生行状記    中畑春雄

(14)『怪奇雑誌 1950年 第3巻 第12号』
ズロースを洗う男    大越誠一
寝室に狂う女    北川安吾
人肌観音と女体    大泉栄三郎
空飛ぶ変態男    巽千代吉
逆立ち淫婦傳    日高利夫
裸になった女投手    川合順一
接吻地獄    秩父甚次郎
艶色江戸草紙    村雨市兵衛
狂おしい娼妓の性生活    狭間十一男
処女とワイセツ写真    飯野甲斐
浅草淫痴奇女群    夢野與七
エロ実演興行の生態    留野道治
瓦版女肌刺青    川合庄吉
猟奇男色物語    宮園三四郎(怪奇男色物語が正解)
透明人間女譚    平野元
美少年を愛する変態秘密クラブを探る    小松多門
男女性愛秘傳
田園の猟奇町 朝霞宿に寝るの記 秋野実


(15)『怪奇雑誌 1951年 第4巻 第1号』
苦しみの女体
女のパクパク踊り
華かなる裸婦
助六
裸弁天小僧
静かなる女臭
来客に妻を貸す村    服部森久
女の色情過度    池田義之
好色浮世風呂    成田章元
戦後版エロ本の実態    長井嘉夫
陰毛うらない    的場申吉
異常生殖器の人々    眞田俊夫
艶奇実録集    小山定了
早熟少女ものがたり    宮園三四郎
乗物パンパン繁盛記    秋野実
寝室の猥談    毛利正義
エロ映画あの手この手    岡京太
色道秘儀虎の巻―女性編―    夢野與七
結婚初夜の姉妹    上原仁太郎
多淫物語    阿部弘二
股のつけ根の刺青    春田静夫
接吻地獄    秩父甚次郎
淀君のはいたズロース    南條哲夫
情痴人形    日高利夫
山の春婦傳    夏川涼太
花嫁丸裸事件    平野元
裸貞女物語    宇津木譲
妻汝の名は淫婦なり
床入り指南の家老
バナナを握った女の子
女体の刺青    津田浩画
待合の変態    赤坂昭画
情痴の傷    小田利美画
カイキキ先生行状記    中畑春雄
新年お色気風景    杉本三郎

(16)『怪奇雑誌1951年 第4巻 第2号』
高尾太夫は重いも道理
子供は髭がきらい
独身男女と性人形    宮園三四郎
男娼の秘戯    山田正夫
艶笑夜の泉    木村流香
変態エロ商売    時松三十吉
東京秘密クラブ巡り    浦松章吉
女のハダカ競輪探訪記    秋野実
変態男ものがたり    尾形兼蔵
人気女優のお尻くらべ    徳川雪太郎
顔によって女の肉体を知る法    野々寺角太
淫売婦ものがたり    春山緑
変態男罷り通る    諸井紋多
艶書病患者    住見忠次郎
ナイトクラブの怪女体    青木憲一
別荘の裸女    村泉二平太
エロ作家夫人の肉体    日高利夫
接吻地獄    秩父甚次郎
命がけの愛欲    平野元
猟奇夫婦    南條哲夫
火葬小屋の裸女    北川安吾
新春お色気座談会
色道秘戯虎の巻
火葬場の情痴    鈴木清画
閨房の媚態    港新平画
肉体は欲情する    津田浩画
女体猟奇写真
まんがである
快喜マンガ

(17)『怪奇雑誌 1951年 第4巻 第3号』
女性同性愛の秘戯    橋場仁吉
お色気隠し言葉    宮園三四郎
女体の夢
エロエロ談義    岡京太
毛の話いろいろ    枝松秀樹
珍妙小町娘    長谷部章
おとし紙談議    村上昌三
春宵エロ小咄    大船仁吉
思春期と性欲    小松多門
ハマの猟奇夜話    吉田喬夫
風呂屋色サービス    北川安吾
変態性欲者物語
貞操帯をはずす者    宮古朝二
変態男罷り通る    諸井紋多
女の足をなめる大臣    川越金平
見せたがる狂女    巽千代吉
女の裸試合    夏目三吉
東京淫婦傳    浦上豊年
処女パンパン    竹本頼夫
四十八手を教える店    秋野実 春日順子
象の鼻をにぎった女
皆喜まんが    川崎善一
まんがマンガ    御法川富夫

最近のことなど

感想をたくさん書きたいと言いながら、思考もまとまらず、2月も半分を過ぎました。
いかがお過ごしでしょうか。

福島次郎氏の男色小説を探そうキャンペーンを意地になってやっています。
見つからないとわかると、余計に探したくなるのなんででしょうね。
さて、The kenというゲイ雑誌に福島次郎氏が書いた小説が転載されていると、前回の記事で書きましたが、2号に転載された小説が不明でした。
こちらは、詩と眞實1972年2月号掲載の「砂と太陽」とわかり、なおかつすでに複写をとっていたので、改めて読み返しました。

 

同人の主宰もする才女と大学教授の娘さんにアタックされる主人公は、貧しいながら船を操縦して暮らす少年の方が好きでした――。

という話です。あっさりまとめ過ぎなんですが、あまり私の先入観で書くと、面白みが半減すると思うので。はい。

ぜひ読んでほしいです。

 

あとは、なぜか宗教雑誌「宇宙」に、綿貫六助がコラムを寄せていて、文字起こししようかどうしようか、といったところです(しかしキリスト教関連の雑誌に寄稿してたり、仏教雑誌に寄稿していたり謎が謎を呼ぶ綿貫の執筆人生)。

男色でない綿貫のコラム、どれくらい需要があるんだろうか…。

 

宇宙昭和3年10月号「銀座ものがたり」の最初だけちょっと載せますね。

(誤字脱字してるかもです。すみません)

 

「銀座ものがたり」綿貫六助

 
 今のモダン雌雄たちは、夢にも知らぬだらうが、私どもの初めて東京をみた頃には、新橋から上野、浅草と三点を連絡させる鉄道馬車があつて、曲り角あたりでは殊に、がらんがらんがらんと鈴(ベル)を鳴らして馳けてゐたものだ。そのあいまには、円太郎馬車があつて、テトテトテト、、、と今の豆腐屋のラッパを響かして転びあるつたものだ。
 雨宮だの藤山だのが、電気鉄道と云ふ言葉を振翳して大騒動をやつたのは、その後の事である。
 本所あたりでは、九銭出すと、赤飯だの、大福だの、お稲荷さんなどを、お腹の空いた二十前後の威勢んなからだへ一ぱいに充め込むことのできた時代である。
 三崎町辺は渺茫たる原野で、鎮台兵の調練場になつてゐた。今の東京駅のだつて草原だったのだ。
 まあ………その頃の銀座などは、しっとりとした趣きのあるものであった。
 側面は黒シックイ、荘重な二階格子の特色濃厚な古風な商家がづらりと並んで、人の服装にも一層物色があつておもしろかった。
 幾昔も月日が流れて後、明治三十四五年頃のこと、四谷見附の三河屋と云ふ御案内の牛肉屋などは、妙な坂のそばに黒板塀のさゝやかなのをまわした。小さな牛肉屋で、二十一銭出すと、牛一人前おしんこ一皿、御飯一人前と云ふ山盛安のカクレ場だった。私はその頃、軍隊の下士階級に身を捕縛させて、持前の旺盛の方も発揮させつゝ、適宜に道楽もしてゐたがつまり、二十幾銭で一週間の労を慰する事のできる時代だった。
 
 
その頃でも、今よりは、人の仕事がシットリと落ちついてゐたやうに思はれるのだから、その以前のものが今よりも優れてゐるものゝ多いのも頷かれぬ事ではない。
 
 
 その後、堀は切崩される、電車は縦横にはしる、どころな話ぢやない、自動車、オートバイ、飛行機で、めまぐるしくなってきた。
 何時だったか、私は、ゴム輪の俥をみて、第一、音がしないで、ヌーッと滑るのに驚き、次には、日光にさらさらと輝き渦巻くあの鉄芯の車の骨にキモをつぶしたものである。
 梶棒の長い荷車の如き人力車でカタカタときしみ歩つてゐるのに目馴れてた私は、ゴム輪の俥が愛しさに見えて、はらはらと気が揉めてしようがなかったもの
である。
 さうして、その頃は、御夫はみな六尺褌で臀べたから、前の睾丸をキック包んで、ある魅力的な曲線を出してみたところに、古風な空気が漂つてゐたものであつ
た。
 
 時の移動と共に、急速な進展をしてきた、銀座あたりでも、あの今度の関東大震災を劃して、更にがらりと急変した。
 そこに生れ出たのが、モガとモボだが、西洋の遊蕩児(ドリアン)と東洋の不
良を調合したやうな、雑種的、混血児的、無特色的で、何の問題とするほどのものではないが、よく示囃されるのは、どうしたものであらう。………もとより、いくら人まねが上手でも、あんまりほめたものでもなさゝうだ。
 とは云へ、岡太く、どかんどかんと芯底にきさうな洋傘の短柄を、予行演習如として、モガが掴りまはしてみようと、モボが肩と腰の線をなよやかにくねらせようと、彼等の身辺には颯爽とした軽快なそして華やかな空気が馨つてゐないわけでもない。
 けれども、昔のやうに純朴で、そのなりをみれば、その職業などもすぐ分るやうなのが重々しくて可い。一得一失だらうが…
 
 
 銀座から話は外れるが、遊廓の吸附けたばこが、冷々とした備附けの稀薄な写真になり、圚厠には芬々臭気を放つ消毒液の器械が備附けられたとやら、この分でゆくと、お馴染には、ラヂオで呼出を掛けるやうにならうも知れぬ。新婚旅行は飛行機で、ちよいと世界を一周などゝ洒落出さぬとは断言できぬ。
 つぶし島田の左褄が、白の露西亜軍旗を甲斐甲斐しく背に負うたカフェーの女給君に、けおとされたと云ふ噂なるも、そんな噂は、芸と貧と貞とを生命としてをる姐さんたちには何の矢も羽もたちはすまい。――
 私は、国境の温泉の谷底をたゞよふ夜の暗闇を愛すると共に、明るく色彩と芳香と音響とに富みた当代の銀座の魅力に曳きつけられる。
 けれども、昔の日本風の銀座の方が、何かにつけて、どうもおもしろく、なつかしい気がするのである。
 
――完――
 
 

福島次郎「缶燗酒」詩と眞實2003年8月号 感想

福島次郎と云えば、少年愛のイメージが強いですが(バスタオル有名ですね)、私の中では淫月などに見られる老年愛のほうがグッと心に来ておりまして、平成の綿貫六助と勝手に呼んでいるくらい。
で、ちまちま同人雑誌に福島次郎が書いた作品を集めているのですが、全部が全部同性愛作品ではないんですよね。まあ、普通の同人だものね。ゲイ雑誌ではないものね。
ゲイ雑誌「The KEN」に転載されたという、

創刊号:福島次郎「天草の小島にて」
第3号:福島次郎「黒い時計」
第4号:福島次郎「ボワイエ先生」

のうち、「黒い時計」はとてもいい感じの中年・老年愛のオンパレードで、他の2作もぜひ探し当てたいところです。
誰が掲載された、同人誌の号数ご存じありませんか…。情報求む。

 

さて、タイトルの「缶燗酒」ですが、熊本の同人「詩と眞實」に掲載された作品で、
元鏡職人でいまは営業をやっててお金を持っているお爺さんが、奥さんに逃げられたノンケの中年とその子供のパトロンになって面倒をかいがいしく見ていて、時々そのお爺さんにモーション掛けられる主人公が語り手。
このお爺さんむっちゃチャーミングでねぇ。
主人公に「欣さまの手にキスさせて」とか言っちゃう。家に泊めさせた時、自分の部屋に上がってこないように布団をたくさん掛けたらあとで布団責めに文句言ったりします。ちなみに宿泊のお礼に大きな鏡くれたりします。

主人公の事は好きでも、本命は博打好きな中高年で、相思相愛というより、お爺さんが一目ぼれで前述したようにお金あげたり、サウナで仲睦まじいお爺さん、父、子の姿を見せたりする。

でも幸せは長く続かなくて、お爺さんが死に、お爺さんのことを好いていたかわからないお爺さんの本命君はお爺さんと自分と息子でよく行った丘で自殺してしまう。

そして主人公は、2人の死から数か月後、町で見かけた17歳ぐらいになった息子に本命さんの面影を見るという…。

そんな話なんですが、ぐいぐい読ませる。タイトルの缶燗酒は本命さんが自殺するときに出てくるタイトル回収もうまい。

 

福島作品にはよくゲイの集まる(しかも中高年以上)飯屋が出てきて、その場で繰り広げられる人間模様がとても面白いので、もっと読みたいです。どこにありますか。

 

(ちなみに国立国会図書館で読めます

ファイアバード見た日記

ブログを書こう書こうと思っていたら、1月末に突然コロナにかかり、
臥せっておりました。
手洗いマスクしていたんですが、消毒が足らなかったのかな…。

今は咳と戦っております。毎度なにかと戦っている気がする‥。

 

さて、教えていただいた軍隊もののゲイ映画「ファイアバード」を見てきました。

www.reallylikefilms.com

軍隊ソドミア映画なんて、戦メリ以来では!? とのこのこ観に行きました。

感想としては、同性愛が禁止されている世界のあるバイの人に言えない悩み~贅沢美男美女を添えて~という感じ。

俳優さん美形で、体も彫刻のように美しく、シーン音楽もエモくて、映像もきれいなんですが、私の中の軍隊ソドミアがそうじゃないんだよなぁ、と言っておりました。

LGBTQ映画として良いのではないでしょうか。

 

追記。

見逃したエンドロール後の話を聞いて、

少尉と美男美女の話ではなく、少尉をめぐって少佐と美男がドンパチしていたなら、グンソドとしておいしくいただいたであろうことがわかりました。はい。

 

2024年1月14日、文学フリマ京都におこしただきありがとうございました

こんにちは、メガネです。
文学フリマ京都に初参戦。

知り合いがいない中、どうなるの私―! と思っていましたが
フォロワーさんが遊びに来てくれたり、
興味を持ってブースに遊びに来てくれた方がいたりと
なかなか楽しいひと時を過ごしました。
かかわってくださったみなさま、本当にありがとうございます。
寝不足で、途中で離脱しましたが、また参加したいですね。京都。

(健康は大事です)