メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

元禄褌考について

大竹直子先生が以前呟いていた、さぶ 1975年8月号に掲載された麻耶純夫の「元禄褌考」についての備忘録を載せておく。

 

なおこの作品は現在書籍化しておらず(していたら教えて下さい)、上記のさぶを入手するしか読むすべがない。国立国会図書館に該当資料があるので遠隔複写は可能。

 

俺は褌である。名前はない。当たり前である。いくら元禄太平の世とはいえ、いちいち褌に名前をつけるほどの暇人はいまい。
 色は白。
 生地は木綿。
 長さは六尺。…

とあるように、主人公は褌である。
まず、無機物を主人公に仕立て上げたのに驚く。
褌は、さる大名の足軽七之助・23歳の下着である。
その褌を、フェチのみなさんが嗅ぎに来る(!?)。

ある祭りのときも、七之助は褌をしめていた。
その祭りの興奮の最中、七之助が主君の若君が好きであることが発覚。

祭りののち、若君から、汚い褌選手権が開催される。
褌を一切洗わず、汚して優勝する七之助はとうとう若君と契る中に。
汚い褌に執着した若君は、褌を七之助からもらい受ける。
褌は、持ち主を若君に変わる(そしてどんどん汚れていく)。

京の都で、全国的な規模の褌競いが行われる。
友禅の褌をつける人がいる中で、
若君は真っ黒に染まった褌を身に着け、異様な雰囲気なんだけれど、なんだか妖しくて美しい。
そして、褌競いで、若君が優勝しました

 

という話です。

サラッとあらすじかきましたけど、読むとすごいうなります。あとドエロです。
褌が主役でこうも濃いゲイ小説が紡げるのか…!? と感嘆します。

どこかで書籍化すればいいのになーと思いますが、
さぶを発行していたサン出版も今はなく、麻耶先生も正体が謎なので、
難しそうです。
面白いのに。

 

改めて、雑誌に載った小説が本になれるのはすごいことだと思いました。はい。