メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

【お能に出てくる美少年を知るシリーズ第14回】「生田敦盛」のご紹介

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こんにちは、メガネです。
今日ご紹介するお話は、源平合戦で討ち死にした平敦盛くんに遺児がいたというお話です。しかも、その子は浄土宗を作った法然上人に拾われるというドラマティックな設定。
それではあらすじを見てきましょう

あらすじ

浄土宗の開祖法然上人が捨て子を拾います。その捨て子の父はなんと平敦盛。彼がある日、上人の従者と加茂明神に参詣すると「父の姿を見たくば生田の森に向かえ」という夢のお告げを受けたので、さっそく生田へ向かいます。
宿を借りようとある家を訪れたところ、その中にいた人こそ敦盛の幽霊でした。
久しぶりに対面する親子。敦盛は生前の苦しみの記憶を語り、わが子との再会を喜んで舞います。
ところがそこに、敦盛の帰りが遅いと閻魔大王の使者が現れ、辺りは修羅道さながらに敵が現れ、剣の雨が降り注ぎ、敦盛が必死に応戦します。
やがて、戦はおさまり辺りが静寂に包まれると、敦盛はわが子との別れを悲しみつつ消えていくのでした。

萌えポイント

美少年の敦盛君にじつは子供がいたという設定にまず驚き。
幽霊になった父と再会する我が子。実に感動的ですね。
しかし、敦盛が修羅道に堕ちていたとはびっくりです。
地獄にあっても安らかにならず、ずっと戦っていたのですね。
能「敦盛」で「回向」を求めたのも、この修羅道から抜け出したかったからでしょうか。
死しても苦しい運命にある敦盛君に切なくなります。
また、玉のような男の子と生まれた敦盛の息子が、
その美しい容貌に似合わぬ墨染めの衣を身にまとい(出家し)、
亡き父の跡を慕って旅に赴く…。
健気で泣けてきます。


なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。
【生田敦盛| 銕仙会 能楽事典】
http://www.tessen.org/dictionary/explain/ikutaatsumori