メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

日沼エイスケ『泥棒日記』こと『性の報告書 ある死刑囚の性歴』を読んだ感想

一年違う会社にいて、元の会社に戻ったら浦島太郎なメガネです。
早く慣れるといいのですが…。

 

さて、男色について調べていた時に出会った
出版したら内容がやばすぎて即発禁になった
日沼エイスケ氏の『泥棒日記』という本があるのですが、
調査の結果、2004年に河出文庫から
『性の報告書 ある死刑囚の性歴』というタイトルで
出直していることがわかり、
正月に入手し、昨日読み終わりました。

 

いや、読むのにすごく時間がかかったのは、内容がえげつなくて…。

 

日沼エイスケ氏が雑役囚のとき、路村三郎という死刑囚の手記を入手し、
その内容を死刑囚の回顧録風にまとめたのが『泥棒日記』です。


戦争孤児が浮浪児になって、食い物欲しさに悪党の手先になり、
男色を教え込まれ、盗みや詐欺を働き、密輸船に売られ、摘発されて
練馬の少年鑑別所を経て、オカマバーのゲイボーイとなり、
会社の金を使い込んで惚れ込んできた男と逃避行するも、お縄になり、
オカマバーを追い出され、夜鷹のような男娼となり、
お金を貯めるも客の黒人のアメリカ兵に騙されて、また刑務所に入り、
そこで男色という男色を極めてから、出所、
いく当てなくたどり着いた親日家の外国人が運営する教会でドMの
夫婦を思いがけずに殺してしまい、死刑囚になった――

 

お、重くない? しかも、まだ20代前半で死刑囚?
しかもほとんどの事象が自分がやりたくてやったわけでなく、
流れ弾に当たりまくってしまった人生といっても過言ではないほど。
こんなの不可抗力なのに、死刑…。おお…。

しかも死刑囚とは何ぞやという説明で、雑役囚が死刑執行された
死刑囚の体で男色したり(死姦…!)、
壁にひたすら女陰を描き続ける死刑囚VS壁を綺麗にする雑役囚、
大臣が変わって死刑執行がバンバンされて、
恐怖に恐れおののく死刑囚とか、
恐ろしいほど読みやすくスラスラ読めて、しかも内容がえげつないので、
5ページ進んで、止まる、数日放置、で、心の準備をして
読み終わった次第です。

 

路村三郎さんが男娼をしているあたり、角達也の『男娼の森』
と比較出来て面白いかも(たぶん時期も同時代)

 

泥棒日記』のタイトルがジャン・ジュネのそれから拝借したそうですが
ジャン・ジュネのそれをそもそも知らなくてですね
(男色調べ始めてまだ浅いので)
解説でジャン・ジュネの紹介を読んで、へーとなりました。はい。
2004年出版の河出文庫版、内容をすごく解りやすく紹介しているタイトルなんですが
個人的に『泥棒日記』の方が好みかなと思います。

いやー、発禁本、男色だからかな? と軽い気持ちで読むものではなかったです。
発禁になるだけありました。

文庫の方も絶版ですが、もしかしたら図書館にあったり古本市場にあるかもしれません(保証は致しかねます)