叶誠人氏の「軍隊と男色」を読み返していて、
「君の名は」ばりに戦火をかいくぐって再会するロマンス小説、林喬一郎氏の「外道の夜」という作品があるということで、
なんとなくずっと探していたんですが、昨日偶然たまたま見つけました
天啓かな、これ。
奇譚クラブ、裏窓、風俗奇譚に記載がなく、図書館のレファレンスでもわからず
あきらめるしか、、、と思っていたんですが、
奇譚クラブの雑誌をドドーンと紹介している
懐かしの奇譚クラブさんのサイトで、読切ロマンスに男色記事はないかと調べていたら
読切ロマンス昭和27年8月号の目次にいました。
実在していたんか、「外道の夜」…。しかして雑誌が検索できる古本市場にない…。おお、存在を認知できたのに、読めないなんて、と思ったら、懐かしの奇譚クラブさんのサイトでそのまま読めました。
何気にすごいよこのサイト。
ざっとあらすじは、戦中に中国でホテルボーイをしている主人公白井君が、ホテルの客の奈良さんと体を重ねる仲になるのだけれど(出会いからして六十九とか言ってて心の腐女子がおほほーッと頬を染めました)、戦争が終わって、日本に引き揚げて別れ別れに。
白井君は定まった職なく、町で出会った同じ嗜好の松山青年に彼の居候先のホテルに誘われ、ついていきます。
そのホテルの一室で、男娼になろっかなと言う白井君。するとその部屋の鏡は実は隣室をのぞくことができるマジカルミラーで、隣室では男娼君とお客さんがいたしていました。
売れっ子の男娼くんとその客を眺めたあと、松山青年といたす白井君。そして次の日の朝、電車に乗り込こもうとするも、のれずに車窓を眺めるとなんとそこには中国で別れたっきりの奈良さんが。「白井君」「奈良さん」お互い呼びあった瞬間、電車は動き出し…。
しかし白井君、奈良さんに焦がれるも、昨日の男娼のお客が奈良さんであることに気づいてしまい、ハートブレイク。
奈良さんはラジオの尋ね人コーナーを使って白井君を探すのですが…(たぶん白井君応えないやつ)。
Fin
みたいなはなしです。いや、たしかに「君の名は」ばりに戦火をかいくぐって再会するロマンスなんですけど、「君の名は」の例えの印象が強すぎて、もっとすれ違いまくるのかと思っていたらそうでもなかったです。
何はともかく、調べていた資料がまた一つ見つかってよかったなーと思ったメガネでした。はい。