メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

榊山保(三島由紀夫)「愛の処刑」感想のようなもの

こんにちは、メガネです。気が付いたら2月が終わりそうです。本当に今年に入ってから何もできていない…。
先週余裕が少しできたので、なるみさんのブログ

naruminarum.hatenablog.com

で興味を持った榊山保(三島由紀夫)「愛の処刑」の載った三島由紀夫の全集を借りてきました。
で、短編なんですが、ねっとり濃い!
一軒家に一人住む、独身の体育教師、大友信二は消沈していた。反抗的な態度をとった生徒・田所を雨の中外に立たせ、結果田所が肺炎を引き起こし、死んでしまったからだ。
気落ちしている所に、大友が恋していた、学校の生徒・美少年今林が訪ねて来る。
大友はその来訪を喜んだが、今林は大友に田所の死の責任をどうするつもりかと問い詰める。今林は、畳みかけるように大友に死んだ田所と同じ格好で切腹自殺を求め、大友はそれにあっさりと了承。
切腹に至るための禊などを経て、大友は切腹する。切腹時、今林は田所云々が切腹させた理由ではなく、自分が大友のことが好きで、切腹する大友が見たかった、大友を愛していたと告白。大友はその言葉を喜びながら果てる。
なお、大友はあっさり死ぬわけではなく(介錯がないだけに)、今林に苦しむ姿をさんざん見られたと推測される。
なお、今林は大友の死を見届けた後、青酸カリで自殺する算段だった。

この作品は1960年(昭和35年)10月、ギリシャ研究・男性同性愛の会「アドニス会」の機関誌『ADONIS』の別冊『APOLLO(アポロ)』5号に掲載され、長らく三島の変名では? とささやかれていた作品だそうです。
実際三島の作品で、死後三島の作ということがわかり、『決定版 三島由紀夫全集 補巻 補遺・索引』(新潮社、2005年12月25日)に収録されています。

また、1973(昭和48)年5月号の「薔薇族」、『『薔薇族』の人びと―その素顔と舞台裏』に掲載されています(ほかにも探すと掲載した本・雑誌があるようです)。

最初に掲載された『APOLLO(アポロ)』の挿絵は三島剛で、この方は薔薇族のライバル誌「さぶ」の表紙を描いていらっしゃいます。

薔薇族伊藤文學氏プロデュースで映画化もしています(ジャンルはポルノ)。

enkpromotion.info

が、がんばったら上映会とかできるんじゃいのこれ。

 

なるみさんの秀逸な「愛の処刑」の紹介で、男色パワーに癒されたメガネさんでした☆