メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

お能にでてくる美少年を知るシリーズ第5回「弱法師」のご紹介

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こんにちは、メガネです。
今回ご紹介する美少年は、「弱法師」という作品に出てくる
盲目の少年俊徳丸くんですが、果たして彼が美少年かどうか…と
悩んでツイッターアンケートしたところ、
美少年という返事が返ってきましたので、
美少年認定させていただきます!
(アンケートにお答えいただいた方ありがとうございます!)

まぁ、作品の元になった俊徳丸伝説はいろいろ姿を変え
時代に枠にとらわれず上演され、記憶に新しいところでいうと、
身毒丸(俊徳丸)を藤原竜也さんが演じたので、
美少年だろうなぁと思います!(弱法師と身毒丸では話が違いますけど…)

【2021年4月7日追記】
三島由紀夫の近代能楽集で藤原竜也さんが弱法師を演じているという情報をお寄せいただきました。かの扁里さまありがとうございます!

 

あらすじ

河内国高安(現在の大阪府八尾市付近)に住む高安通俊は、
他人の、実子を悪く言う言葉を信じて、
俊徳丸(実子)を追放してしまいます。
俊徳丸は悲しみのあまり盲目となり、
乞食坊主として暮らすことを余儀なくされました。
俊徳丸を追い出して後悔した通俊は、俊徳丸の現世と来世の幸せを願い、春の天王寺で7日間の施しを行います。
その最終日に、弱法師と周囲に呼ばれている、盲目の若者が現れました。
弱法師が、施しの列に加わると、梅の花びらが袖に散りかかります。
その花をめでる風流さをもつ弱法師に通俊が声をかけると、
弱法師は仏法をたたえ、天王寺の由来を語ります。
「あ、この若者は、自分の息子に違いない」
通俊はそう確信しますが、人目をはばかり、
夜に打ち明けようと考えました。
通俊は弱法師に日想観(沈む夕日に、極楽浄土を想う瞑想法)をすすめ、難波の絶景を思い浮かべて弱法師は一時目が見えるような錯覚に陥りますが、
錯覚でしかなく、盲目の悲しさに打ちのめされます。
夜更けに、通俊は弱法師に父であることを告げ、弱法師(俊徳丸)は
乞食に身を落とした恥ずかしさから逃げようとしますが、
追いかけた父は息子の手をとり、息子を家に連れて帰りました。

萌えポイント

名家の息子として生まれながら、乞食にまで身を落とし、
さらに悲しみのあまり盲目となってしまう俊徳丸君。
名家の子息だけあって教養があり、
袖に散る梅の花びらの香りに心を寄せるなど、
優雅さをうしなっていないあたりに、美少年の素養がありますね(と勝手に思う)。
美少年はよく悲劇に巻き込まれるイメージですが、
ラストに視力回復ぐらいの奇跡が起きてもいいようなものなのに、
奇跡が起こらないのが、現実的だなぁと思いました。

(一瞬だけ難波の美しい景色が見えて、「すべての景色は、心の中にある」という味わい深い言葉を残す彼ですが)
実家に帰ってからは、幸せに暮らせているといいですね! それくらいの幸せは得てほしいものです。
はい。

動いている弱法師君は↓

youtu.be

なお、下記のサイトを記事の参考・引用に、使わせていただきました
ありがとうございます。
【弱法師/the 能.com】
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_079.html

能の世界って意外と美少年の宝庫じゃない…と思って、
世阿弥さんも美少年だったしなと感慨深くなるメガネでした。
(直、弱法師は世阿弥の長男作です)