メガネの備忘録

文豪の人間関係にときめいたり、男色文化を調べたり、古典の美少年を探したりまったりワーク。あくまで素人が備忘録で運用してるブログなので、独断と偏見に満ちており、読んだ人と解釈などが異なると責任持てませんので、転載はご遠慮ください

【匂いたつ男色能の物語シリーズ1】 弟子が殺されるなら、自分も死ぬ! 師弟愛が奇跡をうんだ 能「谷行」の物語

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こんにちは。だんだんお能沼にはまりつつあるメガネです。
物語を読んでいるだけでときめきマックス…!
今回は、師弟愛が麗しい、「谷行」のご紹介です。

【あらすじ】
山岳で修行する物たちの掟のひとつ。修行中に病気になった者は、
その時点で谷へ生き埋めにされる。

今熊野に住む山伏、阿闍梨は、仲間とともに峰入りという山で
厳しい修行をすることになりました。
実は阿闍梨には松若という弟子がいましたが、
まだ幼いので今回は置いていこうと考えました。
しかし、松若は母の病気が治るように、自分も修行がしたいと言ってききません。
皆反対しますがとうとう松若も一緒に行くことになりました。

葛城山まで来たとき、松若は慣れない修行のせいか病気になってしまいます。
阿闍梨は必死にかばおうとしますが、他の山伏にばれてしまい、
ついに松若は谷行にされます。 阿闍梨は嘆き悲しみ、
自分も谷行にせよと言ってその場を動きません。
他の山伏たちも同情し、皆で祈ります。すると役の行者が現れて、
松若は親孝行であるから命を助けようと言って伎楽鬼神を呼びます。
伎楽鬼神は松若を救いだし、役の行者は人の目には見えない岩橋を渡り去っていったのでした。
第十回若者能サイトより

【ポイント】
山での修行中に病にかかったものがいたら、谷に生き埋めにされてしまうという掟(谷行)があるなか(千日行とかで脱落者が出たら足を引っ張るからでしょうね)、病気の弟子を死なせたくなくて、師匠がいろいろ頑張るのだけれど、とうとうほかの山伏によって谷行が、決行されてしまいます。
おお、なんという哀しみ…
そして弟子が谷行されるなら、自分も谷行にしてくれと訴える師匠。麗しき師弟愛じゃないですか…!
そしたら、他の山伏が同情して祈ってくれ、役行者が現れて、神様を呼び出して、弟子を救出。ありがとうございます!!

ちなみに、ほとんどがワキと子方の芝居になりますから子方の大曲と言えるそうです(鎌倉能舞台サイトより)
ブロマンスではありませんが、弟子が殺されるなら自分も殺してくれという、師弟愛がもう、BLと言ってもよいのかもしれません...(腐った見方ですみません)

お能って、一人で完結する話はあまり見ず、母子や父子の愛情物語だったり、師弟愛が麗しかったりと、関係性の物語なんだなぁと思いました。